たった30秒で世界を魅了!横綱・大の里 ロンドン場所スピーチ

成功マインドセット

こんにちは。スピーチコーチの森裕喜子です。

英国ロンドンで、日本の大相撲「ロンドン場所」が行われました。

会場は、ロイヤル・アルバート・ホール。

あの、世界的な音楽家が立つ場所に、土俵が作られました。

壮観!

2025年10月15日から19日までの5日間、
連日の満員御礼。
大盛り上がりでしたね。

そして最終日。
全取組が終わりまして、場内がまだ熱を帯びている中。
横綱・大の里が、力士を代表してマイクの前に立ったのです。

スッ…と立つだけで空気が変わる。
あれが「横綱が場を持つ」ということなんですね。
そして、横綱は英語で話しました。

“Hello everyone. London is great. Thank you and see you again. Goodbye ! ”

……これだけ。
ほんの30秒。
いや、30秒すらなかったと思います。

でも、私は泣きました。
いいスピーチを聴くと涙が出るのです。

ほぼ瞬間で終わった史上最短のスピーチかもしれないが、
だからこそ、かもしれません。
もう涙が湧いてきて、ビービー泣いてしまいました。

何がどう、と言葉にするのが陳腐になる。
心が動いてしまうというのは、まあ、こういうことなんでしょう。

横綱は、自信と喜びが滲む笑顔で、
堂々としていて、まっすぐ前を見てマイクの前に立ちました。
そして、会場全体と呼吸を合わせるかのように、
ひとつひとつ、言葉を置いていく。

“Hello everyone.”  会場、どーっと湧きます。
“London is great!”   Oh・・・と感嘆のためいき。

“Thank you! See you again! Goodbye.” スタンディングオベーションです。

たった4つのフレーズです。
でも、そこにいた全員の心が同時に動いた。
今年いちばんのスピーチだと感じました。

なぜ?こんなに感動したのか?

かなり野暮ですが、少し整理します。

まず、話し方の基本が全部そろっていたんです。

話の間(ま)、声、姿勢、立ち姿、目線、表情、言葉、存在感。

横綱というのは、やっぱりもう、
そこに立っているだけで「本番に強い人」なんですね。

勝負をしてきた人はスピーチも強い。まさに横綱。

スピーチ的な技術面の凄さをあえて文字にしましたが、
でも「感動」の勘所は、そこじゃありません。

大の里は「言葉を発した」のではなくて、
「想いそのものが、声と姿で、そこに存在していた」んです。

英語がどうとか、上手に言わなきゃとか、
そういう「余計な気配」が一切ない。吹っ切れてる。
ただただ純度100%の「ロンドン、ありがとう」「みなさん、ありがとう」
それがあるだけ。

おそらく、力士全員とロンドン場所実行のすべての関係者の想いが、

あの30秒に一点集中したでしょう。
横綱は、それを代表して、
正直に、まっすぐに、迷いなく伝えました。

想いの純度の高さに、観客は一瞬で心を奪われる。
これがスピーチの本質なのです。

大の里のスピーチは、ロンドン場所の成功を象徴するものだったと思います。

そして何よりも、ロンドンの観客のみなさんです!
本当に素晴らしかった。
拍手の仕方、声の乗せ方、土俵へ向ける敬意。
シコを踏む力士への「ヨイショ〜!」
ロンドンの人たちは、しっかりとSUMOを受け取り、表してくれました。
感無量。

素晴らしい30秒に野暮な解説をしてしまいましたが、
「スピーチは、うまさより、気持ちのまっすぐさ」ですね!

森 裕喜子

経営者のマンツーマンスピーチトレーニングとスピーチ戦略のサービスをお届けしております。トップアスリートのメディアトレーニングも多数実施。

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森 裕喜子

トップリーダー、トップアスリートのスピーチプレゼン戦略 VIC/伝える力でマーケティングする。スパルタトレーニングとコンサルティングをしております。

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