こんにちは。スピーチコーチの森裕喜子です。
ある40代の起業家の方が、スピーチトレーニングに来られたんです。
まじめで、誠実で、穏やか。
まさに「理想の上司」という感じの方でした。
ここではAさん、とお呼びしますね。
トレーニング前の雑談で、Aさん、ふと仰った。
「実は、家族に “歩き方がかっこ悪い” って言われたんです……」
まあ・・・なんと鋭いご指摘でしょう!
歩き方くらい、いいじゃないか、と
思われるかもしれませんが、
これが意外と・・・いえ、かなり大事なのです。
人前で話すとき、
ステージに出た際、一番最初の動作が「歩く」ですよね。
つまり「最初の数歩」で
印象が決まってしまうんです。
スピーチとは、実は「歩き方」から
始まるのです。
さて、Aさん、
トレーニングで歩き方はどうなったのでしょうか。
まずAさんの姿勢そして立ち姿。
決して悪くありません。
ただ、胸元がちょっと下がっていました。
堂々とした、いかにも「なんでもこい!」的なイメージは、
しないんですね。
そして歩いてもらうと・・・膝が少し曲がっているのです。
日本人にありがちな
ちょこちょこ歩いて見える小股歩きでした。
その現状をAさんに率直にお伝えし、
まず立ち姿を改善しました。
「Vゾーンを高く引き上げましょう」
すると・・・これだけでグッとパワフルな印象に。
そして次に歩き方です。
「歩幅を広く!テンポはゆっくり〜、ゆったり〜、でいきましょう」
何度か歩いていくうちに変化が現れました。
すると胸が開いて呼吸が深くなったため、
声にも安定感と深みが増しました。
歩き方って、実は話し方まで変えてしまうんです。
そもそも、日本人のちょこちょこした小股歩きは、
草履を履いていた時代の歩き方でしょう。
服装は着物からスーツに変わった今も、
歩き方は古いまま。
すると、なんとも自信なさげな姿に見えてしまうんです。
靴文化の欧米人は、堂々と大股で歩く。
歩幅ひとつで「この人、頼れそう」と感じさせています。
やみくもに西洋の真似をする必要はありませんが
「堂々と歩く」という非言語メッセージだけは
見習いたいですね。
ポイントは胸元です。
「Vゾーン」と呼んでいますが
そこをちょ〜っと、高く引き上げる。
すると視線が上がり、背筋が伸び、顔つきまでグッと変わります。
歩幅を広くして歩けば気持ちまで広がって、
自然と笑顔にもなる。
歩き方によって、
自信が内側から湧いてくるのです。
スピーチの練習というと
みなさん、真っ先に声や内容を気にされますが、
実は「堂々と立つ」そして「堂々と歩く」
これが一番の基礎。
ぜひ身につけておきたいものです。
たとえば、土日の朝。
公園などを、ゆったり、堂々と歩いてみる。
呼吸を整えながら胸を張り、つま先をまっすぐ前に!
スピーチは、
ステージに立ってからではなく、
ステージに向かって歩き出した瞬間に
もう始まっているのです。
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