こんにちは。森裕喜子です。
いまは、きれいな言葉や構成なら
パソコンですぐに作れる時代。
でも、人の心を動かすスピーチは
出来合いの仕組みや
理屈だけでは生まれません。
普段、このWEBマガジンでは
スピーチのノウハウを中心に
お伝えしていますが、
このシリーズでは、
現場で私が感じていることを
素直な言葉で書いてみようと思います。
今回は、
先日書いた「あえて言葉にしないスピーチ戦略」
に関してです(当記事と併せてぜひご一読ください)。
https://president-speech.com/nowords/
■ 会社の空気
普段、私はトップリーダーの方々の
スピーチトレーニングを
ご一緒しています。
社長が登壇の場で話す言葉というのは、
決して、社長お一人が生み出すもの
ではありません。
会社全体から、見出されます。
特に広報部や戦略企画室など
社長を支える周辺の皆さまが
いらっしゃるからこそ、
トップのスピーチも、
そして私のこの仕事も成り立ちます。
◾️戦略は掛け算
「一番伝えたいメッセージを、あえて言葉にしない」
先日お伝えしたこの戦略も、
私が頭の中の理論だけで
組み立てたわけではないんです。
かといって、
どこかから引っ張ってきた借り物
でもないし、もちろん
単に思いついたのでもありません。
社長の周囲の皆さまや会社全体から
感じられる空気と、私の中にある
これまでの経験がかけ合わさって
一瞬で出てきた答えでした。
「全国会議」に向けた打ち合わせでのこと。
広報部の方が、こう仰いました。
「変革の時期をむかえた今、
社員の皆さんに『自ら動き出そう』と
思ってもらいたいんです」
そう聞いた瞬間、私はこう返していました。
「『変革のときだ』『変わろう』と
ズバリの言葉にするのは、
やめてみてはどうでしょう。
あえて言葉で伝えずに、
聞き手に感じてもらうのです」
今こうして振り返ると、
よくあんなにはっきりと
言い切れたな、と思います。
なぜ、あの考えが生まれたのか。
■ 社長の言葉と自分ごと
言葉の力って、本当に強いんです。
例えば、会社が「変わろう!」
と大きく発信しても、
社員の皆さんが「はい、変わりましょう」
とすぐに自分ごとにできるかろいうと、
実際は、そうではありませんよね。
会社からの発信に関して、社員というのは
「変わらなきゃいけないんだろうな」
と思いつつも、頭のどこかで
「なんで?」と腹落ちしていなかったり
するものです。
そこに、社長から、インパクトの強い
大きな言葉が届く。
すると、社員の皆さんは
その大きな言葉にすっぽりと包まれる。
「社長がそう言うなら」
自分で考えるまでもなくなってしまいます。
社長の言葉は、本当に影響力が強いのです。
「なぜ変わる必要があるのか」
「自分はどう動くべきか」
と現状を分析して、
心や頭をざわざわさせて考えるきっかけを、
奪ってしまうかもしれない。
となると、それは、
会社が望んでいることではありません。
一人ひとりに、自分ごととして
考えて行動してほしいのですから。
だからあえて大きな言葉は使わず、
代わりに、圧倒的な事実だけを
丁寧に伝えきる、と提案しました。
事実を受け止め、
それを自分なりに考え、
心と頭を動かし始める。
自分ごとにするとは、
まさにそういうことだと思います。
■ 記憶に残ることば
もちろん、
この伝え方の戦略は
どんな会社でも正解だとは思いません。
「この会社なら、できる」
直感的に、そう確信していたのです。
以前、広報担当の方が、こんなふうに
仰いました。
「うちの会社は大きいから
動き出すまで時間はかかるけれど。
でも、動き出したら、すごいんです。」
こう聞いたときの衝撃は
今も残っています。
会社員だった頃、私は
自分の目の前の仕事で精一杯でした。
会社全体のことなんて
考える余裕もない。
ただ自分がすべきことに
追われていました。
だからこそ、
この広報の方の言葉が、響きました。
会社を前に進めるために、
熱い誇りを持って働く人がいる。
長く続く組織というのは、
きっとこういう素晴らしい方々に
支えられているのだ。
そう気づかされました。
そして、そんな想いを持った方が、
トップの言葉がもっと届くようにと、私に
ご連絡をくださったのです。
社長のお人柄。
あたたかい会社の空気。
そして、広報の方の力強さ。
この組織の皆さんなら、
社長が語る事実の奥にあるものを
ちゃんと受け取って、
必ず自ら動き出される。
そう信じたからこそ
「あえて言葉にしない」という答えが
自然と導き出されたのだと思います。
全国会議における広報部のお考えに、
この戦略も取り入れていただき、
社長のご登壇が行われました。
◾️言葉に魂を入れる
スピーチ戦略には、
いつも、こんなふうに、
現場にある想いや
働く皆さまの存在が宿っています。
そういう現場の生きた空気に触れるからこそ、
スピーチトレーニングが
活かされるのです。
経営トップの本当の想いを、
社員へ伝えたい。
しっかり伝わるようにするには、
何をどうすればいいのか。
もしそんなふうに思われましたら、
どうぞお気軽にご相談ください。
ぜひお力になりたいです。
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