【声とAI 】③ AIには書けない重みある言葉。一瞬一瞬を「生きる」トップの真の影響力

ー 声とAI

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きれいに整ったスピーチ原稿をきちんと読んでも、人の心を打たない。
AIが作った完璧な文章でも、どこか空々しく聞こえてしまう。
その答えを、あるイベントで偶然聞いたスピーチで確信しました。 

人に何かが伝わるというのは、表層的な言葉や話のうまさではなく、
話す人が「毎日、どう生きているか」から生まれるのです。

一瞬一瞬を生きて「解像度の高い体験」をすること。
人間にしかできない、飾らない「ご自身の歩み」こそが、
強く尊い発信力の土台、真の影響力の源泉です。

◼️ AIにはない、生きた時間
AIがつくったスピーチ原稿、すごいけど、ぜんぜんおもしろくないんだよね。
ある元総理の言葉から始まった、この連載。
私たちがうまく付き合っていくべきAIという存在によって、
逆説的にですが、「人として、何が大切か」
が見えてきたように思います。
人が人に向けて行うスピーチも、まさにその一つです。
<詳しくはこちら:連載1回目>

AIには命がありません。だから始まりも終わりもない。
過去に蓄積された膨大なデータを「処理」することはしても、
肉体を通して一瞬一瞬を経験し、心を動かすことはありません。

◼️ 会場のトップたちが涙した、究極の「デリバリー」
たまたま出席していたイベントで、一つのスピーチを聞きました。
長く畜産業を営んでこられた一人の方が表彰されたのです。
会場には、作業着で帽子を被り、軽トラに乗るお写真がありました。

お名前が呼ばれると、小さなジャケット姿の背中が立ち上がりました。
一歩一歩、ステージへ。
舞台に上がる階段の手前で立ち止まり、吊り看板を見上げて正しく一礼されました。

マイクの前にスッと立たれて、はじめてお顔が見えました。
お天道さまをたっぷり浴びた深いシワ。
厳しく真っ直ぐな表情で話し始めました。

毎日毎日、苦労の連続であること。
それでも懸命に、じっと仕事をやり続けてきていること。
周囲の仲間たちも皆、大変苦労していること。

とつとつと出てくる言葉を、
聞き手一人ひとりが確実に受け止めながら進んでいくスピーチ。
たくさんの方が涙されていました。

◼️ 完全な「自然体」が空気を変える
この方の話し方や立ち居振る舞いがスピーチとしてどうだったのか。
それを考えることなど無粋ですが、あえて書くことにします。

ただ淡々と話されていた、と見ればそれまでですが、実は大変奥深く、
完璧なスピーチでした。

繰り出される言葉も、声の大きさや話す速度も、聞きやすくわかりやすい。
聞き手の理解と納得を邪魔するようなノイズはありません。
内容もデリバリー(伝え方)にも余計なものがないと同時に、
足りないものも一切ない。
粒立った言葉が一つひとつ、話し手から聞き手に届きます。

人前で話しているのに、なんの力みも驕りもなく、ゼロなのです。
立派に見せようとか、感動させようといった計算も、一切なし。
完全な「自然体」です。

なぜ、そんなことができるのか。
じっと拝見していてわかりました。

この方は、「スピーチをしている」のではなかったのです。
瀟洒なステージに上がり、聴衆に向けて話すこの一瞬一瞬も、ご自身の仕事を
懸命に全うしてきたこれまでの毎日と同じように、
ただただ「生きて」いらしたのです。

◼️ 言葉を「話す」のか、言葉を「生きる」のか
ビジネスの世界では、トップが飾らない姿を見せることも有効な戦略です。
ですが、この方は「戦略か自然体か」という次元を超えていました。

立派に見えるようにして、感動を呼ぶことスピーチの目的なら、
正解の言葉を組み立てるAIと同じになってしまいます。

ですが、この方は、ただスピーチを「話して」いたのではなかった。
一言一言にご自身の歩みと体温を乗せ、
言葉を出すその瞬間を「生きて」いたのです。

一瞬一瞬を「生きる」。一言一言を「生きる」。
言葉をただの情報として処理するAIには、決してできないことです。

◼️ ご自身の歩みを、そのまま言葉に乗せる
どんな場であれ、人が人に向けて言葉を発するとき。
目指すべきは「きちんと立派に話すこと」ではありません。

トップの皆さまは日々決断をし、一瞬一瞬を生きていらっしゃいます。
すでに、そのこと自体に揺るぎない説得力があり、尊いものです。
ですから、無理に飾ったり、別の誰かを演じたりする必要などありません。
ご自身が歩んできた道を、そのまま言葉に乗せる。
一つひとつの言葉を、その瞬間に「生きる」。

これは、AIにも、他の誰にも決して真似できない、
トップご自身の真の発信力の土台、
影響力の源泉なのです。

<ご案内>
トップの心の中には、人の心や組織を動かす「物語」がすでにあります。

次の重要な舞台へ向けて。
すでにお持ちの強みを活かし、
ご自身に最適な「伝え方の答え」を共に見つけ出します。
大切な想いが真っ直ぐに届くよう、丁寧にサポートいたします。
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スピーチコーチ 森 裕喜子

御来訪ありがとうございます。AI時代、リーダーの生身の声こそチカラです。経営トップのコミュニケーション強化策「社長のスピーチ戦略」をマンツーマントレーニング・コンサルティングしています。

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