【声とAI 】連載① “ I have a voice! “ トップの「生きた声」はきれいな文よりずっと強い

スピーチ戦略

AIが瞬時に言葉を整え、きれいな文章をつくることは
かつてなく簡単になりました。
だからといって、人と人とのコミュニケーションが
すべて解決するわけではありません。

AIが知る世界より、人の世界はずっと複雑、もっと豊かなのです。

新連載【声とAI】では、これからの時代に
トップリーダーへ求められる「生きた言葉」の正体と、
想いを真っ直ぐに届ける「声」の力について紐解いていきます。

◼️完璧な原稿が「つまらない」理由
先日、元総理大臣がインタビューで話していました。
秘書が、過去のスピーチをすべてAIに読み込ませ
新たな原稿をつくってきたそうです。

それを見て総理は「こんなことができるのか!」
まさにご自身が話しそうな内容で驚かれたそうですが、
こう続けられました。

「だけど、ぜんぜん、おもしろくないんだよね」

トップご自身がスピーチされる際、本当に叶えたいことは何なのか。
トップの話を聞く人が、本当に求めるものは何か。

それは、ご自身の経験や想い。
それらが言葉となって相手に価値をもたらすように伝わっていくこと。
たとえそれが、完璧な表現ではなくとも、

元総理が「おもしろくないんだよね」とおっしゃった本意は、
そのような意味合いだったのではないでしょうか。

AIがつくった文字の羅列は、
どくどくと血の通った人間の身体を通ってきた言葉ではありません。
生きた肉体を通っていない言葉は、人の心を打つ「命ある響き」にはならないのです。
たとえそれがどんなに綺麗で立派でも。

◼️「文字を読み上げる」ことの孤独
AIがつくる言葉は、いわば「頭の中だけで作った言葉」です。
実は、私たち人間も、すでに同じことをしてきています。

会議の資料をつくる。メールを書く。
ビジネスの現場で誰かに考えや想いを伝えるとき、私たちは大抵、
まず「文字で書く」から始めます。
スピーチ原稿をつくるときも、そういう方が多いかもしれません。

ですが、プレゼンやスピーチというのは、
そうした「文字を書く」から取り組み始めたとしても、
最終的には「声」に出すものです。

頭の中で綺麗にまとめた文字を、ただ単に読み上げる。
これは「読む」という行為であって、
誰かに向けて「伝えよう」としていません。

情報の確認や伝達だけなら、それでよいですが、
話す側が相手に言葉を届ける際に
「何らかを感じ取ってもらいたい、行動を起こしてもらいたい」
と願う場合は、そうは行きません。

どれほど綺麗で立派な文言でも、
正しく読み上げるだけでは相手の心に響かないのです。

◼️生きた言葉は「声」から始まる
相手の心に響く言葉を生むには、どうするか。
頭で考えて「書く」その前に、「声」で言葉を出すとよいのです。

頭の中だけでつくった文章には、
ご自身の「呼吸」や「身体のリズム」が入っていません。
文章として整えようとするほど、言葉から体温が消えていきます。

普段の何気ない会話の中で、 お相手が
「やはりトップの言葉には力がある」と感じられる瞬間はたくさんあるはずです。

思い浮かぶままに言葉を声に出して話すと、自然とそういうことが起きる。
心に湧き上がったリアルな熱量が、その瞬間、言葉に乗るのです。

これこそ生身の身体を通った、力のある言葉です。
ですからぜひ、スピーチやプレゼンで登壇される際にも、
そんなふうに、自然体で湧き上がるようにお話しいただきたいのです。

◼️声から言葉を見出したケース
スピーチトレーニングで実際に「声から言葉を出す」ことに取り組み、
ご自身の言葉を見出し、本番の舞台でそれらの言葉を
届けることができたトップリーダーがいらっしゃいます。

会社創立30周年の節目にご登壇された経営者の方。
当初は、会社の軌跡が網羅された立派な原稿をご用意されていました。
しかし事前準備の段階で、ご自身の声で言葉を出していく方法を実施され、
ビジネスの数字の裏側の物語を語りながら、
過去と未来をご自身の言葉で伝えるスタイルに切り替えられました。

スピーチ本番に自信を持って挑まれ、
社員の皆さまは熱心にノートを取りながら社長の話を聞かれました。
(詳細は下記記事に掲載)

また、別のトップリーダーの方は、
苦手なスピーチに対して「もう逃げない、自分の言葉で話す」と決断され、
事前準備段階では声に出しながら内容をまとめられました。
本番では、圧倒的な熱量と輝きで、
会場全体を深く惹きつけるスピーチをされました。
(詳細は下記記事に掲載)

この方々が本番へ向けて取り組んだのは、
頭で内容を考える前に、まず声で言葉を出すことだったのです。

◼️AI時代に求められる「温度」
映画『英国王のスピーチ』のなかに、
吃音に悩む主人公が「私には声がある!(I have a voice!)」と叫ぶ場面があります。

人前で話すことの苦手意識や、「こう話すべき」という型を打ち破り、
ご自身の生身の存在を証明した魂の言葉でした。

本当の言葉は、頭の中ではなく、生身の身体を通してはじめて完成します。

人の心を動かす力は、綺麗に整った文ではなく、
トップご自身の体温が宿るご自身の声から生まれます。

心と体が動いて生まれた言葉こそ、
聞き手の胸を打つ、確かな響きになるのです。

◆◆◆◆

次回2回目の【声とAI】では、想いを真っ直ぐに届けるための
表現の土台「身体(フィジカル)」を紐解きます。


トップの心のなかには、
人の心や組織を動かす「物語」がすでにあります。
大切なご登壇で、ぜひご自身だけの言葉と伝え方でお話しいただけますよう、
弊社がお手伝いさせていただきます。
少しでもご興味がおありでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。

【お問い合わせ・個別相談はこちら】
https://voice-image.com/contact

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スピーチコーチ 森 裕喜子

御来訪ありがとうございます。AI時代、リーダーの生身の声こそチカラです。経営トップのコミュニケーション強化策「社長のスピーチ戦略」をマンツーマントレーニング・コンサルティングしています。

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