聞く人の心を打つ話は「上手に話したい!」と思うほど出来ません

成功マインドセット

こんにちは、森裕喜子でございます。

これまでに一番心に残ったスピーチは
どんなものですか?

と聞かれると、いつも思い出すものがあります。
それは10年近く前の、

某授賞式のスピーチ

でした。

毎年行われている食業界の授賞式。
会場には200名ほど業界の方が勢揃いでした。

その年の受賞者の写真が
スクリーンに映し出されました。
それは軽トラックを背にした

作業着姿の男性

でした。名前が呼ばれ、ひとりの男性が
舞台へ歩み出ました。

ツイードのような茶色い上着の小さい背中。

舞台に上がる手前で一旦立ち止まり、
壇上の賞の名前を見上げてゆっくり一礼。

この姿から、その男性が毎日を
どう生きているかが想像できました。

階段を静かに上がりマイクの前に立つと、
陽に焼けた濃い茶色の顔に深い皺が
たくさん刻まれていました。

スタンドマイクの後ろに直立し、
しばらく黙ったまま
会場の聴衆をまっすぐに見たあと、
ポツリと、地に足のついた声で
話し始めました。

その内容はこんなふうでした。

わたしは、牛を育てる仕事をずっとやっています
わたしの育てる牛は、
市場の人気とは逆行しています
それでも、やり続けています

地元の農家はみんな非常に苦しい状況で
将来の見通しも明るくありません

牛の世話は毎日毎日大変なことの繰り返しですが、
それでも毎日大切に、
一頭一頭育てています

一切飾りがない言葉は
淡々と語尾を言い切る丁寧な話し方でした。

毎日軽トラに作業着で働く人が
今日は上着を着て、東京の瀟洒な会場で
金屏風の前にとつとつと話しました。

ただそれだけかもしれませんが
会場に集まったスーツ姿の聴衆の多くが
涙を流して聞いていました。

淡々と話しただけのスピーチが
これほど聞き手の心を打つのはなぜか?

それは、この受賞者の男性が
最も伝えたかった想いをまっすぐに
自分の言葉で表していたからです。

上手なスピーチをしようなどという
思いも、そこにはありません。

人の心が動かされる話とは
話す人の「生き方」が話全体から
伝わってくる話です。

そういう話は、本当に少ないですね。

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森 裕喜子

森 裕喜子

トップリーダー、トップアスリートのスピーチプレゼン戦略 VIC/伝える力でマーケティングする。スパルタトレーニングとコンサルティングをしております。

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