こんにちは、スピーチコーチの森裕喜子です。
ある経営者交流会で
お二方が登壇されました。
A社長は
「今年は売上が前年比120％、社員数は5年で4倍」
会社の成長を数字で伝えました。
一方のB社長。
「創業3年目、
資金繰りが厳しくて夜中に車の中で泣いた。その時、
もう絶対同じ思いをしないと決めて
今につながっています」
B社長の話に会場の空気が変わり、質問も
続々と出ました。
いずれもビジネスの成果についての話。
でも聴衆の反応は大きく違いました。
すごい実績なのに心に訴えない理由
この差はどこからきたか。
「感情」を言葉にしたかどうかの違いです。
自分が感じたことを話すと、
聞き手は話し手に共感しやすくなる。一方、
立派な成果やすごい実績も、
客観的数字に触れるだけだと
聞く側には「ただの情報」で終わることがある。
なぜ感情を話さない、話せないのか？
ビジネスを語る際には
数字やデータなどのファクトは欠かせません。
また「聞き手は事実だけ知りたいはずだ」
「感情を話すのはプロらしくない」
といった考え方もうなづけます。
ですが、人は感情の生き物。
すごい成果を生み出した行動の裏側には
人の想いや感情が必ずあったはずです。
機関投資家向け決算説明のような場では
ファクト中心で話しても、
一般聴衆の集まる講演では感情を言葉で表してみる。
このような切り替えも有益だと思います。
気持ちを言葉にしていく方法
普段ファクト中心で話していると
想いや感情をどうやって言葉にしたらいいのか？
となることがあります。
そんな時、スピーチトレーニングでは
問いかけをします。
「120%の数字は会社にとって、どんなにすごいことですか？」
「120％とわかった時、どんな気持ちでしたか？」
すると皆様、気持ちを言葉にされます。
もしも冒頭のA社長に問いかけたら
どうなるでしょう？（以下仮説）
「前年比120％とわかった瞬間、心の中で（よし！）と思って
もう叫び出したくなるくらいでした」
出ました、いい言葉！
トレーニングであれば「それを加えて話してみませんか」
となって、本番での聞き手の反応も違ったでしょう。
ファクト情報だけでは人は動かない。
心が動いて共感できる要素が必要なのです。
話す人の「血」が通ったスピーチを
ぜひ、お届けください。
