英国政府によるコロナショック関連の発信に毎日、目を奪われています。
一方、日本のコロナ対策の発信は?
「どう伝えるか」が人命に関わる今。2つの政府の発信を比較しながら「情報の自分ごと化」の重要性を考えます。
一瞬で引きつける力
最初にこれを観たとき「外出するのをやめよう」と思った。
圧巻。自分が取るべき行動とその理由が、明確に伝わってくる。
フューシャピンクの色鮮やかな物体は新型コロナウイルス。6つの単語だけでコロナが一気に自分ごとになった。
日本でも医師会の先生が「情報がひとりひとりにとって自分ごとになっていないのが、大きな課題」とコメントされていた。
情報を自分ごとにすることこそ、発信の目的、プレゼンの使命。
ファクトを簡潔に伝える力
家にいてもらう次に、具体的対応策を告知。
「英国は月末までに毎日100,000のテストをします」
なんと簡潔な文章。
読まなくてもわかる文字量なのに情報が過不足なく含まれている。
日本政府ならば、懇切丁寧に説明するのではないだろうか(以下、想像で)。
「国民のみなさまへ。現在政府では新型コロナウイルス対策を実施しておりますが・・・の準備を進めております。感染の疑いがある場合にはXXXXの対応をいたします。連絡先はXXXです。みなさまのご協力、よろしくお願いいたします」
どちらが緊急事態にふさわしい発信か。
疑問に答えられる信頼感
多くの疑問に先んじて答える。先手を打った情報発信は信頼感以外の何ものでもない。
伝え方の歴史
こうして英国の発信を見てくると思い出すものがある。
先の大戦で英国民の士気を上げたというスローガン。
ロンドン土産のマグカップやらで馴染みある、こちら。
80年くらい前のものだろうに古さは一切感じない。戦時中の発信なのに洒落てすらいる。
日本にも戦時中、こんなインパクトある文言があった。
「欲しがりません勝つまでは」
ビジュアルは良いものが見つからず。
かつてこれをタイトルにしたNHKドラマがあった(藤山直美の名演だった)。
つい口にしたくなる、一度聞いたら忘れない。スローガンとしてはインパクトあり。
これを今に活かすなら、こうしたい。(現下の法的拘束力等は考慮しておりません)
「外出しません勝つまでは」
ビジュアルにしてみました(手作り)。
実際に日本政府が打ち出したコロナ対策スローガンは「3密」であった。
3蜜は覚えやすいが、この見せ方は「説明」。
説明とプレゼンは目的が違う。
説明は、情報を知らせるため。
プレゼンは、衝撃で人を動かすため。
この発信で「よし外出を控えよう」と国民が行動を変えるような訴求になっていたのかどうか?
今般、都や政府は訴えてきたが、なかなか自分ごと化されないという実情があった。
見えないウイルスゆえ実感がわかないのも理由だが、情報で人を動かすインパクトと説得力ある発信は不足していた。
人を動かしたいときには説明だけしてもダメ。プレゼン的なインパクトがなくてはならない。
今はもう、日本人の「自から動く賢さ」に期待するしかない。